歯を強くするフッ素

 

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『フッ素』て何でしょう。何も特別なお薬ではなく、自然界にもいたるところにある、ごくありふれた物です。フッ素は歯の質を強くする自然元素のひとつです。5億4500万年前のカンブリア紀の海水フッ素濃度は1.3ppm(百万分の一の単位)といわれ、この濃度は現在の海水でも殆ど変わりません。つまり生物は、何億年もの間変わらないフッ素濃度の海の中で進化し体や歯を作ってきたのです。フッ素は、毎日の食事を通して私たちのカラダに摂取されている必須栄養素のひとつでもあり、歯質を強化する効力が最も高いことから、世界各国でむし歯予防に利用されています。けっして車のワックスのように歯の表面をコーティングするようなものではなく、歯の表面自体を強化するものです。乳歯や生えたばかりの永久歯に非常に効果的です。フッ素を塗布した後は少なくとも30分間はうがいや飲食はしないようにしましょう。現在、世界で約3億8千万人以上の人々が、水道水の中のフッ素濃度を約1ppmになるように調整して(水道水フロリデーション)、むし歯予防の効果を上げています。水道水フロリデーションは自然が教えてくれたむし歯予防方法です。



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医療機関で行うフッ素

フッ素塗布法:保健センターなどでも広く一般に行われている方法で、高濃度のフッ素溶液(2%NaF・酸性フッ素リン酸溶液)を歯科医師の管理下で年 3〜4回(3〜4ヵ月ごとに)行う方法です。短時間で終わるため特別に患者さんの協力を必要とせず、小さなお子さんでも塗布することが可能です。塗布後、30分間はうがいができません。以前のフッ素溶液(ジェル)は後味の悪い物しかなく、うがいできないことは不快なことでした。最近、リンゴ味のフッ素ジェルが販売され、塗布後30分間はうがいはできませんが、それほど不快ではないようです。
 



開業当初から年齢によってフッ素塗布法とフッ素イオン導入方を使い分けていましたが、上記の理由及び、保護者の方への金銭的な負担も考えフッ素塗布法だけとします。しかし、むし歯予防効果としましては家庭で低濃度のフッ素溶液を毎日利用することが効果が高いと考えています。フッ素塗布には歯ブラシを使いますが、感染予防の為、その子にあった新品の歯ブラシを使います。お持ち帰り下さい。

フッ素塗布料 1,600円(歯ブラシ1本付き

トレー法:歯科医師の管理下で年 2〜4 回(3〜6ヵ月ごとに)行う方法です。高濃度のフッ素溶液(2%NaF・フッ化ナトリウム液)をトレー上の綿にしみこませ、通電することによって積極的に歯の表面にフッ素イオンを取り込ませようとするフッ素イオン導入法とフッ素塗布法でも使用する2%NaF・酸性フッ素リン酸溶液を用い、通電せずにそのままくわえるトレー法があります。どちらの方法も専用トレーを上の歯に5分間、下の歯に5分間の合計10分間くわえる必要がありますので患者さんの協力が必要です。


家庭で行うフッ素

1〜3歳児にお勧めします。
ブクブクうがいができない低年齢児のためにスプレー式のものも販売されています。夜、歯を磨いた後に、歯ブラシにスプレーをして歯の全体に塗るようにする物で、直接歯に吹き付ける方法もありますが、歯ブラシを使った方が確実でしょう。フッ素洗口法と同じ様な効果が得られます。塗布の後はうがいとかせずにそのまま就寝してください。無味無臭です。一本で2ヶ月ほど使用できます。
商品名:レノビーゴ 1,400円


3歳以下のお子さんにお勧めします。
YOBOU22.JPG - 19,984BYTES家庭でおこなうフッ素塗布剤で低濃度(約500ppmF)のフッ化物配合です。11回、夜の歯みがきの後に米粒大程度を歯ブラシにとり1分間ほど塗布することにより、むし歯の予防効果が期待できます。フッ素を塗布した後は少なくとも30分間はうがいや飲食はしないようにしましょう。YOBOU23.JPG - 16,193BYTES

商品名:チェックアップジェル バナナ 600

 

 

 

4歳以上のお子さんにお勧めします。

家庭でおこなうフッ化物配合ジェルでフッ化ナトリウム(950ppmF)を主成分とし、甘味料としてキシリトールを添加しています。1日1回、夜の歯みがきの後にほんの少量米粒大程度を歯ブラシにとり1分間ほど塗布することにより、むし歯の予防効果が期待できます。一本で4〜6ヶ月ほど使用できます。

5歳以上のお子さんにお勧めします。
フッ素洗口法:毎日法(週5回法)と週1回法があり(商品名:ミラノール 1100円)、毎日法では週5日以上、比較的低濃度のフッ素溶液(0.05%NaF)を少量(5〜10cc)口に含みブクブクうがいを30秒間する方法です。歯科医院で 3〜6ヵ月ごとに行うフッ素塗布と違って家庭で手軽にでき、毎日欠かさず行うことによって高い予防効果が期待できます。フッ素洗口の時間帯としては夜、歯をみがいた後に行いましょう。洗口の後はうがいとかせずにそのまま就寝してください。ぶくぶくうがいを上手にでき、無理なく習慣がつくためには5歳以上のお子さんに勧めています。4歳以上のお子さんで兄姉と一緒にする場合には試してみてください。一袋で6ヶ月〜1年ほど使用できます。
週1回法ではフッ素溶液(0.2%NaF)で毎日法と同様に週1回ブクブクうがいを30秒間〜60秒間する方法で学校や幼稚園で行われるフッ素洗口はこの方法が多いようです。ご家庭でされるときは毎日法をお勧めします。

注:この料金はあくまでも「ゆきなり小児・矯正歯科」でのものです。

71、ミラノールはどこで購入できる?

 

HAHAHA-14.GIF - 3,484BYTESフッ素入り歯みがき剤を有効に使用するためには

 

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どうでしょう、フッ素入り歯みがき剤だけでむし歯予防は大変でしょう。私も歯みがき剤がお子さんが歯みがきの習慣の動機付けになればいいと思っていますが、やはりこれだけでは不充分だと考えています。上記したレノビーゴ、ホームジェル、ミラノールを毎日、利用することがむし歯予防の早道だと考えます。


HAHAHA-12.GIF - 4,940BYTES小学校で行うフッ素洗口の実際の使用
0.2%フッ化ナトリウム溶液を使用する“週1回法”についての方法です。)

 

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小学校で行うフッ素洗口の実際の使用」についてです。ここでは 0.2%フッ化ナトリウム溶液を使用する“週1回法”についての方法です。

 

@   使用する薬剤は、市販されているフッ化物洗口剤、ミラノール®ビーブランド・メディコ・デンタル社>1.8gを100ccの水道水で溶かした洗口液を用います。100cc10〜20名分です。

 

 

A児童のコップに5〜10ccの洗口液(1年生は5cc6年生は10cc)を注ぎ分け、30秒ブクブクうがいをし、コップに吐き出します。誤飲を予防するため、洗口はできるだけ下を向いて行うよう姿勢に注意します。

 

 

 

費用:1.8g×60包で6700円、1112円となります。

11回あたり、5.611.2円です。小学校に行く期間を1年間45週と計算すると

 

5.6円×45回=252円〜11.2円×45回=504

 

お薬代だけですので他にフッ素水溶液を作るための容器も必要ですが、それでも児童1人当たり年間600円以下でむし歯予防ができます。

 

フッ素洗口について保護者の同意のない児童は、水道水で洗口するなどの配慮をします。

Q、フッ素は体に害はないのでしょうか。飲み込んだ場合の害は?

A、フッ素で問題になるのは慢性中毒と急性中毒があります。慢性中毒は飲料用地下水に自然界のフッ素が高濃度含まれている地区に起こるもので、我々が通常の使用法で起こるものではありません。ここで問題になるのは急性中毒の方でしょう。歯科医院で行うフッ素塗布法は用量的にも急性中毒を起こすことはありません。フッ素洗口法では可能性はあります。洗口法には毎日法と週1回法があります。毎日法では0.05%のフッ化ナトリウム溶液を使用します。通常の使用量は5〜10ccですので全部飲んでも問題はありません。4歳児の平均体重は16.5kgで、この場合フッ素溶液を147cc以上飲んだ場合に急性中毒(寒気、吐き気、発汗、腹痛といった症状)が起こる場合があります。週一回法ではフッ素濃度が4倍のものを使いますので、1/4の量でおこる可能性があります。応急処置として牛乳を飲ませると良いでしょう。自宅で行う場合は毎日法をおすすめします。

 

YOBOU21.GIF - 46,647BYTESQ、フッ素を塗る時期、期間は?

A、フッ素は乳歯や生えたばかりの永久歯のむし歯予防に効果的です。乳歯や生えたばかりの永久歯の表面はきれいなエナメル質の結晶が整っていない場合が多くつるつるではありません。その証拠に乳歯や生えたばかりの永久歯には茶渋がつきやすく汚れやすいのです。ですから酸に溶けやすくむし歯になりやすいということです。大人の歯のように生えて時間がたった永久歯の表面は堅く酸にも強くなります。早く大人の歯のように丈夫な歯に早くしてあげようと言うのがフッ素です。フッ素には歯の表面を堅く丈夫にする効果と抗菌作用があります。少なくとも一番奥の永久歯(12歳臼歯)が生えるまでは定期的にフッ素を応用した方が良いでしょう。年齢的には1歳半頃から13、4歳までです。これも個人差がかなりあります。

 

Q、お茶でうがいするのとフッ素剤を使用するのとむし歯予防の差は大きい?

A、一般的にお茶の渋みを出すタンニン。タンニンを形成する成分の一部がカテキンであり、特に日本茶には良質のカテキンが沢山入っています。カテキンには殺菌作用、抗菌作用がありますが、フッ素にはこれに加えて再石灰化作用があります。むし歯予防の面からみるとフッ素の応用の方が効果が高いです。
 *注:乳製品に含まれる蛋白質はカテキンと結合しやすく、その効果を無くしてしまうので注意しなくてはならない。 食中毒防止のためにお茶を飲む場合、食事の時はお茶を飲んで、3時間ほどたってから牛乳は飲みましょう。

 

シーラントのはなし

奥歯の溝のところにできるむし歯は、はえ始めから2〜3年以内にできやすいものです。特に6歳臼歯はむし歯になってしまうことがおおいのです。シーラントとは、奥歯の溝を、むし歯になる前にフッ素を放出するお薬で埋めてしまう方法で、特に溝が深くて複雑な6歳臼歯に効果的です。歯が完全に生えたときにはプラスティックのシーラントをしますが、その前にむし歯になってしまうことがあります。6歳臼歯が生えかけています。一部分、歯肉がかぶっており、溝のところよりむし歯になりかけています。このような状況ではプラスティックのシーラントはまだできません。そこで奥歯が完全に生える前にフッ素を含んだお薬(セメント)を溝にいれてむし歯になるのを防ぐという方法があります。歯肉が途中までかぶっている場合もできますが、永久的なお薬ではありませんので定期的にやり直す必要があります。下左の写真は溝にフッ素を含んだお薬をいれた状態です。白いものがお薬で、時間とともに徐々にとれてきます。何度かいれ直す必要がある場合があります。歯が完全に生えたらプラスティックのシーラントにバトンタッチです。これで一安心ですが、シーラントでは歯と歯の間のむし歯の予防効果はありません。歯みがき、デンタルフロス(糸ようじ)、フッ素の応用が必要です。シーラントは万能ではありません。いくら小さなむし歯でも、その上からシーラントをする事は危険です。いつの間にかシーラントの下で大きくなっている場合もあります。シーラントをする場合はダイアグノデント等を使い正確にシーラントの適応かどうかを判断する必要があります。


萌出途中の歯にシ−ラント プラスティックのシーラント

最近では第二乳臼歯が抜けた後、むし歯予防のために6歳臼歯の平滑面(矢印のところ)に表面の清掃、処理後プラスティックのシーラント剤を薄く塗布し硬化させ(光沢があるあたりがそうです)、むし歯になるのを防ぐ方法もありますが、これはあくまでむし歯予防のための方法です。

平滑面にほどこされたシーラント

 

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