Q61、6歳の子で、上の乳前歯の歯ぐきが長くなってきた

A、実際に診たわけではありませんので、はっきりはしませんが、上の前歯(永久歯)に生え代わるときに乳歯が適正な時期に抜けず、歯ぐきが長く見えることがあります。年齢的にそういうことがあってもおかしくない年齢です。その場合は乳歯が抜けて永久前歯が生えると状態が改善されます。歯ぐきが目立つだけなら鼻が悪く、口呼吸をしており口唇の筋肉が弱くいつも口をぽかんと開けている場合も考えられます。適切な処置、口唇のトレーニングが必要です。それと、骨格性の上顎前突の場合も同様な状態を示します。「Q10、乳歯でかみ合わせが深い」を参考にされて下さい。これは先天的な物ですので時期を診て本格的な矯正治療が必要です。上の前歯が生えてからでいいですので改善しなかったら専門医に受診した方が良いですね。



Q62、2歳の子で食べ物をチューチュー吸って噛もうとしない

A、離乳食を早く進めすぎたのかもしれません。丸飲み状態なのでしょう。哺乳と違って、噛むということは練習しないと上手になりません。お口の中の状態(歯の生え方)にあった離乳食の進め方をしないと噛まない子、噛めない子を作ってしまいます。歯の生え方は個人差がありますので、奥歯が合わせて4本しかはえていなく、かみ合っていない状態なら通常のご飯粒でもつぶせないものです。噛まないからといって食べさせるために水分で流し込むのはとっても悪いことです。止めましょう。解決策としては離乳食に戻しましょう。ご飯粒はもちろん軟飯です。指で押すとべちょっとつぶれる程度です。食事の途中では水分は与えないようにします。食事の後に飲ませるのはかまいません。1歳過ぎのお子さんと同じように口に入れる量もお母さんが調整してください。たくさん入れるのは禁物です。この様なことを2週間ほど続けてみて下さい。噛む練習です。食べさせるとき、お母さんは焦ってはだめですよ。にこやかに食べさせて下さいね。

Q63、下の前歯が生えてきたが、寝かしつけの授乳はやめたほうがいい?

A、かまいませんよ。下の前歯だけならあまり気にしなくとも良いと思います。上の前歯はとても、むし歯になり易いところですし、就寝時の授乳は統計的にも、むし歯ができるリスクは高くなります。上の前歯が生え初めたら、ガーゼで上唇と上の歯の間に貯まったミルクを吸い取って下さい。寝入ったお子さんを起こしてしまいますのでガーゼでごしごしこする必要はありません。それならできるでしょ。

Q64、歯列矯正用おしゃぶり(Orthodontic pacifier)ってなあに?

A、アメリカから輸入され、販売されている物の中に「歯列矯正用おしゃぶり」というものがあります。トイザラスなどで購入できるようですが、元の説明書きの中に、
・Encourages healthy oral development while satisfying natural sucking desire.
と書いてあります。「自然な吸引行動で健康な口元の成長を促進する。」
と言う意味でしょうね。決して歯並びを治すおしゃぶりではなく、口腔周囲筋の発達を促す目的で、母親の乳首を模して作ったようです。
しかし、これってとても普通なことです。現在のほ乳瓶の乳首もこの様な考え方で作られています。特別、これさえ使えば歯並びは悪くならないと言う物ではないようです。名前の付け方が大げさですね。
3才未満までは指しゃぶり、おしゃぶりでもどんどんやってかまいません。メリット面が多いと思います。歯並びも止めたら自然と治ります。詳しくは
Q17、指しゃぶり、おしゃぶりについてをご参考に。

Q65、乳歯の虫歯がとなりに生え出した永久歯にうつる?

A、乳歯にむし歯があるということは、お口の中の環境が、むし歯ができる(むし歯ができやすい)環境ということです。生えたばかりの永久歯の表面(エナメル質)は大人の永久歯のエナメル質と違って、非常に酸に溶けやすくい状態です。そういう酸に弱い永久歯が、むし歯ができやすい環境に生えれば、かたっぱしからむし歯になっていきます。ご注意を。

Q66、上唇小帯が前歯の生え際まで伸びています

A、2歳8ヶ月の子で上唇小帯が長く、前歯の生え際まで伸びています。このまま様子をみていていいものなのでしょうか?との質問ですが、上唇小帯が長い場合でも薄く、細い場合は何もしなくとも良い場合がほとんどです。まれに小帯自体の幅が2〜3mm以上もある場合があります。そのようなときには小学校入学前後に手術したりします。上唇小帯の幅があまりにも広い場合上の前歯の間が開いてしまう正中離開の原因になる場合もあります。上唇小帯の位置が悪い場合は転倒などで切れてしまうこともあります。詳しくは22、上の唇と歯茎をつなぐ筋が切れたをご参考に。
上唇小帯:上唇と歯ぐきをつないでいる筋のことです。

Q67、「歯がため」って必要?

A、たいして必要ではありません。これをしないからと言って歯が悪くなることはありませんが、歯が萌出してくるとお子さんは色々な物を噛もうとします。変な物、危ない物を噛むよりは安全で清潔にしやすい物を与えて置いた方が良いでしょうね。そのくらいに考えて下さい。口に物を持っていく、くわえるという行為は、もともとお口の周りの感覚が発達しているため、そこで物を確認しようとするためでもあります。「おっぱい」を吸うために必要な感覚です。

Q69、進行止めが口の回りについた

A、進行止めを塗った後に唾液に進行止めが混ざり、口元に付着する場合があります。進行止めは最初は透明ですので、付いた時には気づかず、時間の経過と共に右の写真の様に浮き出てきます。石鹸などではなかなか取りづらいものです。しかし、徐々(2〜3日)にとれていきます。急いで落とすにはJG(ヨードグリセリン、ヨードチンキでも可)を塗って10〜20秒後オキシドールで拭くと取ることができます。進行止めは皮膚には害はありません。

Q70、何歳からむし歯の治療ができる?

A、何歳からでも可能です。しかし、子どもとのコミュニケーションが充分にとれるのは3歳半くらいからだと私は思っています。治療前の説明が理解できるかどうかです。現在、痛がっているとか神経までむし歯が進行している可能性が高い場合はどんなに小さくとも治療します。それ以外は進行止めを塗布し3歳半まで治療の時期を遅らせるようにしています。それよりもお口の中をむし歯ができにくい環境にすることが先決です。そこが改善されない場合はいくら治療しても同じだと考えています。詳しくはようこそ小児歯科へをご参考に。

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