むし歯はどうやって治療する？

　ここでは私の診療所で行っている基本的なむし歯の治療方法（修復方法）をご紹介します。全ての歯科医院で行っている修復方法ではありませんし、他にも色々な修復方法があります。むし歯が大きくて神経まで達していた場合には適切な処置の後に、これらの修復方法を行います。

進行止め：商品名サホライド（フッ化ジアンミン銀溶液）のことで一般には「むし歯の進行止め」と言われています。初期のむし歯に塗ることによって、むし歯の進行を遅らせようとするものです。1〜2歳児（下の写真）では、ある程度大きなむし歯でも治療を遅らせるという意味で塗布する場合もあります。進行止めを塗ったからといってむし歯が治るわけではありません。むし歯ができたということはお口の中がむし歯ができる環境ということですので、これが変わらない場合にはむし歯の進行は止まりません。お口の中をむし歯ができない環境にする事が大切です。進行止めは塗った直後は色は付きませんが徐々に黒く着色してきます。黒く着色したところがむし歯だと思ってください。健康な歯の表面には色は付きません。黒く着色した部分が黒光りするようになったらむし歯の進行は止まっています。つや消しの黒の状態では進行は止まっていませんので治療が必要になる場合が多々あります。

コンポジットレジン充填：小児歯科では最も頻繁に行われるむし歯の治療方法です。むし歯に犯された部分を取り除き、その部分をレジン（プラスティック）で補う方法です。しかし実際にはレジンの脱落防止の為などで、少し大きめに歯を切削し、充填します。元通りの白い歯にすることができます。しかし、むし歯が大きすぎて神経まで達していたりとか、むし歯に犯された範囲が広すぎる場合には適しません。前歯の治療にも、奥歯の治療にも適応することができます。

コンポジットレジン冠：むし歯で歯が大きく欠けたときや、神経を抜いたときなどの歯質がもろくなっていると思われる前歯に使用します。もともとの歯を細く切削し、既成の型にレジンを入れ直接、切削した前歯に接着します。欠けた歯や、進行止めで黒くなった歯でも元通りのピカピカな歯にすることができます。

乳歯用既成冠：コンポジットレジン冠の時と同様にむし歯で歯が大きく欠けたときや、神経を抜いたときなどの歯質がもろくなっていると思われる臼歯（奥歯）に使用します。臼歯は子供とはいえ大変強い力が加わりますので、じょうぶな金属冠を使用します。

インレー修復：6歳臼歯や永久歯の歯と歯の間にできたむし歯の修復に当医院では用います。永久歯が生えているということは年齢的にも大きくなっています。体が大きくなると噛む力も強くなりコンポジットレジン充填では強度的に不十分な場合があります。そこで歯の型を取り、金属（金合金）で削り取った部分を補うように作り（これをインレーと呼びます）、調整をして歯に接着剤で合着します。

むし歯はわかりづらい物です。小さなむし歯だと思っても実際には中で広がってとても大きなむし歯になっていることがあります。またむし歯の入口が小さい場合、学校歯科健診、幼稚園歯科健診でも見つからない場合もあります。歯みがきが悪くて歯垢（歯の汚れ）が付いている場合はなおさらです。

溝の所に小さな穴が空いていますがレントゲンでは中で広がっているのがわかります。

表面のエナメル質を削ると中のむし歯が見えてきます。

中の悪い部分を完全に取り除くと、こんなに大きなむし歯でした。

歯の中の神経を保護し、コンポジットレジン（プラスティック）で修復します。

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