Q21、歯ブラシを噛んですぐに広がる

A、小さなお子さんは歯みがきの習慣が付いていないとお口の中を触られるのを嫌がるものです。また歯みがきの習慣が付いているお子さんでもご機嫌が悪いときには歯ブラシを噛んだりして抵抗したりします。広がってしまった場合はこまめに交換して下さい。また、自分で磨きたがるときはお子さん用の歯ブラシと磨き直し用(お母さん磨き用)の歯ブラシを分けておいた方がいいですね。
幼児(乳歯列:全てが乳歯で永久歯が1本もない状態)用の歯ブラシは小さめを選んでください。大きい歯ブラシでは奥歯などが磨けません。私は歯ブラシの植毛部分が長さ11.5〜14.5mm、幅5.5〜7mm、毛先の長さ5.5〜6.5mm程度の物を推奨しています。

 

Q22、上の唇と歯茎をつなぐ筋が切れた

A、上唇小帯と言うのですが、その付着部位(歯茎についている位置)が悪い場合には転倒などでと簡単に切れることがあります。その場合、かなり出血しますが切れた状態で治ってしまいます。以前はよく付着部位が悪いときには手術をして人為的に切っていたくらいですからそのままで結構です。出血がなかなか止まらないとか、腫れてきた場合などは歯医者さんへ行ってください。

 
Q23、ストローが歯にはさまった

A、小さな子供は何をするかわかりません。特に1〜2歳のお子さんは何でも口に入れてしまいます。この写真は小さなストローの一片(ビーズなどと一緒に入っていたらしい)を口に入れてしまい、もぐもぐすることによって下の前歯にはまり込んでしまったものです。気づくのが遅れ、歯が植わっている骨が溶けてしまっていました。無事、取り出すことができましたがご注意下さい。

Q24、治療後に唇を噛んでしまった

A、麻酔を使って治療した場合、その麻酔によるしびれが治療後も2時間前後残っています。お子さんはそのしびれている所を気持ち悪がったり、また痛くないものですから唇や頬を噛んだり、爪で傷つけたりします。麻酔がさめるまでは何も食べさせない様にしてください。噛んだり傷つけた場合には、お薬を塗った方が早く治ります。噛んで2日後くらいには噛んだ部位の表面に白い膜が形成されています。この膜は無理にはがさないでください。治癒が遅れます。白い膜は自然にはがれ、1週間ほどで治癒します。右の写真は噛んで2日目のものです。白い膜が形成されています。

 

Q25、どこが痛いかわからない?

A、まず、本当に痛いのかどうか確認してください。子供の場合は歯に限らず、「痛い?」と聞いてはだめです。歯に触るときも痛いと思われる歯を直接触るのではなく、隣の歯から順に触るようにします。(むし歯の場合でも、ぶつけた場合でも大丈夫と思われる隣の歯からゆっくりと動かしていきます。)この時は「大丈夫?痛くない?」というように尋ねてください。本当に痛い場合は「痛い!」と本人が言います。このように小さい子供への質問の場合は、子供の返事が肯定(うんとかハイ)にならないように聞くのが鉄則です。

 

Q26、前歯をぶつけて歯の色が変わった

A、乳歯を脱臼した場合、歯の中の神経が死んでしまう場合があります。だいたい1週間前後で歯の色が赤茶色になったり、2〜3か月経過した後に、歯が黒ずんでくること(右写真参照)があります。この場合は歯に穴を開けて中の死んでしまった神経を取ってあげる必要があります。そうしないと歯の色はますます変色してきます。神経は死んでいますので麻酔などは使う必要はありません。2〜3回程、かよう必要がります。変色がなくとも歯の根が徐々に溶け出すことがあります。1〜2年程ですっかり根がなくなることがあります。これはレントゲンで確認するしか方法はありません。一旦溶け出した場合は止めようがありません。そのまま大切に使うことです。上の前歯はだいたい7歳前後で生え代わりが始まります。それより以前に動き出した場合は要注意です。

 

Q27、ぶつけて歯が折れてしまったら

A、子供はよくころぶものです。特によちよち歩きの時期と小学1年生前後が多いと言われています。歯の先端が少しだけ欠けてしまった場合にはそのままでも大丈夫ですが、1/4以上折れてしまった場合には神経が露出していることがあります。その場合には神経を抜き、根の処置が必要となります。その後、プラスティックで欠けた歯の部分を修復します。永久歯が折れた場合には将来的に歯の全部を覆うような治療が必要になる場合があります。
縦に亀裂が入ったり、写真のように歯茎の中の方まで破折している場合では残念ながら歯を残すことはできません。とにかく少しでも歯が欠けたり折れた場合にはすぐに歯医者さんで診てもらってください。

 

Q28、ぶつけて歯がグラグラしていたら

A、歯をぶつけてしまってグラグラする場合があります。乳歯の場合には歯の生え代わりの為に、歯の根が溶けてなくなっていることがあり、この場合は心配はいりません。乳歯が抜けてきれいな永久歯が生えてきます。一方、生え代わりの準備ができていない根の長い乳歯や永久歯がグラグラしている場合は元の正しい位置に歯を戻して固定する必要があります。両隣の歯と矯正用装置を使って、2〜4週間ほど固定します。あまり長く固定すると歯の根と顎の骨(歯槽骨)が直接癒着し、将来歯の高さが変わってくる場合があります。歯がめり込んだ場合にはぶつけた直後は動きませんが、時間が経つにしたがって押し出されグラグラしてくることがあります。この場合も固定が必要です。
乳歯をひどくめり込む方向にぶつけた場合、乳歯の根の先で骨の中にある永久歯の芽を傷つけてしまうことがあります。この場合は永久歯が生えるのを待ち、むし歯と同じ様な治療をします


Q29、ぶつけて歯が抜けてしまったら

A、子供はけがをするものです。ころんで前歯をぶつけてしまうこともよくあることです。強くぶつけてしまった時には前歯は折れずに根っこごと抜けてしまうことがあります。あきらめるのはまだ早い、適切な処置をするとまた以前のように使えるようになります。

1、急いで抜けた歯を探しましょう。

2、水道水(流水下で30秒以内)で洗います。歯に付いた汚れを洗い流します。この時ゴシゴシこすってはだめです。

3、歯を乾燥させないように抜けた歯を元に戻すか、ほっぺの内側にいれるなどして急いで歯医者さんへ。短時間(30分以内)ならそのままでも大丈夫。

4、休日や夜間などですぐに歯医者さんにいけない場合は牛乳の中に入れ冷蔵庫で保管します。コーヒー牛乳やヨーグルトではだめです。

5、歯の根の処置をして歯を元の位置へ戻し固定します。約3週間ほどでくっつきます。

歯の根がぽっきり折れてしまった場合には残念ながら元に戻すことはできません。乳歯では歯の生え代わりのために元々、歯の根が溶けていることもあります。歯医者さんで確認してもらってください。

 

Q30、乳歯を早い時期に失ってしまったら

A、永久歯への生え替わりの時期が来ていないのにむし歯などで、どうしても乳歯を抜かなければならないことがあります。歯が抜けたままほうっておくと隣の歯がよってきて正常に噛むことができなくなり将来、永久歯の歯並びが悪くなったり、顎の成長に悪影響がでたりします。そこで保隙装置といわれる装置を入れ、隣の歯がよってこないようにしたり、顎の成長に影響が出ないようにします。残念ながら現在、保険診療では認められておりませんので自費となります。


小児義歯:たくさんの乳歯を失ってしまい噛むのにも困る場合に使用します。形は大人の入れ歯とほとんど変わりませんが、抜いたところからは永久歯が生えてきますので必ず定期的に調整する必要があります。前歯がない場合にも利用でき、見かけも良くなります。しかし4歳以上でないと、なかなかうまく使えません。


バンドループ:奥歯が1本だけ抜けた場合に使うつっかえ棒です。抜けた所から永久歯が生えてきた場合にはすぐにループをはずす必要があります。固定式ですのでどんな子供にも使え違和感が少ないのが特徴です。

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