Q11、乳歯が抜けずに永久歯が生えてきた

A、永久歯はだいたい5歳くらいから生え始め、乳歯は本来自然と抜けていくものです。しかし、何らかの理由でうまく抜けなかった場合には抜いてあげる必要があります。あごの骨の中で育っている永久歯の生えようとする方向が悪い場合には、乳歯の根が長く残ることが多く自然には抜けません。また乳歯の根があごの骨に張り付いている場合もあります。そういう場合も時期を見て乳歯を抜いてあげる必要があります。そのままにしておくと永久歯の歯並びが悪くなったり、かみ合わせが悪くなります。下の前歯では永久歯が乳歯の裏の方から生えてくることがしばしば起こります。この場合にはすみやかに(1ヶ月以内には)乳歯を抜く必要があります。乳歯を抜けば裏の方から生えてきた永久歯も徐々に正常な位置へ戻っていきます。歯は生え始めた所に止まっているわけではなく、歯が並ぶ隙間さえあれば徐々に正常な位置(きちんと噛める位置)へ動いていきます。歯が並ぶ隙間が足りない場合には歯並びは悪くなりますが、後々あごの幅が成長してきれいな歯並びになることもありますので、小児歯科で定期的に診査を受けることをお勧めします。
詳しくは「
乳歯を抜く必要がある?」をご参考に。

 

Q12、上の前歯がなかなか生えてこない

A、上の前歯の生え代わりは7歳前後で始まります。しかし転倒などの事故により早期に前歯を失うことがあります。早期に乳歯が抜けてしまっても、その下の永久歯の準備ができていませんので、やはり7歳前後にならないと永久歯は生えてきません。早期に上の乳前歯を失った場合、表面の口腔粘膜が厚く丈夫になり、永久前歯が生えようとしても粘膜を破ってこれないことがあります。通常の時期に乳歯が抜けた場合でも、本人が抜けた場所を気にして指で触っていたりとか舌で盛んになめていた場合にも同様なことが起こります。右の写真でもわかる様に歯ぐきが盛り上がり、指で触ると歯の形がわかるほどになります。このような場合には盛り上がった歯ぐきを部分的に切り取ることにより、永久前歯の萌出を手助けします。これを開窓と呼びます。適切な時期に処置をすると1ヶ月ほどで歯の半分程度も、萌出してきます。その他に乳歯が抜けてなかなか永久歯が生えてこない場合として、生えようとする永久歯の方向が悪い場合もあります。レントゲンで永久歯の方向を確認してもらって下さい。

 

Q13、上の前歯がねじれて生えてきた

A、乳歯も永久歯も常に正しいところから生えてくるとは限りません。傾いて生えてきたり、ずれて生えてきたりします。しかし生えた後で舌の力や口唇、頬の力で正常な位置へ移動していきます。歯がきれいに並ぶ隙間がないときに並びきれず不正咬合となります。上の前歯はよく、ねじれて歯と歯の間が空いて「ハの字」に生えてきます。ねじれは舌と口唇の力で治ってきますし真ん中が空いているのは隣の永久歯が生えるときに押されて閉じていきます。このようなことがよく起こるものですから、特別に「みにくいアヒルの子の時期」と呼ばれているくらいです。

Q14、前歯がガタガタに生えてきた

A、顎の横幅の成長が充分でない場合や、大きな永久歯が生えてきたときに起こります。顎の幅の成長はまだ7〜8歳でも起こりますし、奥の方の乳歯が生え代わる時に少々のガタガタなら改善されます。少々ガタガタでも上下の正中(上の歯の真ん中と、下の歯の真ん中)があっていればそのまま観察することが多いです。正中がずれていたり、かみ合わせた時に1〜2本内側に入っていて顎が左右に動きづらい時などは矯正治療を開始する場合もあります。専門医で診てもらって下さい。



Q15、下の前歯がガタガタに生えてきた

A、乳歯の時にはきれいに並んでいた下の前歯が永久歯に生え代わるに従いガタガタになる場合があります。顎の幅の成長がまだまだ見込めますし、横の歯が生え代わるときに隙間が少し余りますので自然と少々のガタガタなら改善されます。しかし、写真の様に1本だけ内側に入り込んでいる場合は上下の歯の正中(上の歯の真ん中と、下の歯の真ん中)がずれてしまっている場合が多く、時期を診て青い矢印の乳犬歯を削って細くするとか抜くとかして正中を合わせる必要が出てきます。定期的に専門の小児歯科で診てもらうことをお勧めします。

Q16、歯肉が歯の上に乗かって痛い

A、6歳臼歯(6歳頃に一番奥から生えてくる永臼歯)が生える時にしばしば起こります。6歳臼歯はとても大きな歯ですので歯ぐきを破って生えてくるときに右の写真の様に一部分歯ぐきが取り残されてしまうことがあります。ある程度の物は歯ブラシで横からつっこみ磨きをする事によって自然と消滅しますが、どうしても痛い場合等は麻酔をしてこの部分だけを切り取ってしまいます。電気メスを使うと出血もなく短時間で終わります。

 

Q17、指しゃぶり、おしゃぶりについて

A、色々な考え方がありますが、私は

 0〜2歳  自由に指しゃぶり、おしゃぶりをどうぞ(3歳になるまで)
 3〜5歳  徐々に頻度が減ってくれたら大丈夫
 6歳以上 やめましょう、問題です。

と言うふうに考えています。
指しゃぶりをしていますと歯並びに影響が出てきます。 具体的には

 1、開咬(奥歯は噛んでいても前歯が噛みあわさっていない)
 2、
上顎前突(俗に言う、出っ歯)
 3、
臼歯部反対咬合(あごが左右にずれ、顔がゆがむ)

などが起こってきます。小学校に上がる前までに指しゃぶりを止めると自然に元に戻ることが多いです。小学校になってまでも指しゃぶりをしていますと指だけではなく舌が歯と歯の間に常に挟まっている状態になり指しゃぶりを止めても元にはもどりません。また、無意識にこのような状態になりますので、この場合は簡単な矯正装置を入れる必要があります。不正咬合の治療例を参考にしてください。やはり専門の矯正歯科に受診されたほうが良いでしょう。
ある程度以上の年齢(3歳以上くらい)になって、指しゃぶりは赤ちゃんのすることだと理解させます。止めさせるのも急にむりやり止めさせる必要はありません。徐々に、やんわりと指しゃぶり、おしゃぶりは「はずかしい」ことだとさとします。これを急にしつこく言ってしまうと、他のこと(例えば、爪を噛む、物を噛む、タオルをしゃぶる等)を始めたりしますので、気楽に構えてください。子供は成長します。それで頻度が減ってきたら大丈夫です。私は4〜5歳の子供には、わざと「指をしゃぶってごらん。」と言っています。すぐに指をしゃぶる子供などいません。皆、恥ずかしそうにします。かっこ悪いことだとわかっているのです。「じゃ、やめようね。」と言っておしまいです。その位で十分だと思っています。

Q18、歯みがきは何時頃からする?

A、歯の生え方により、むし歯になりやすいお子さんとなりにくいお子さんがいます。上の前歯がきっちりとくっついて生えているお子さんはそれだけでむし歯になりやすくなります。ですから歯みがきを何時から始めるかは暦年齢(月齢)ではなく、歯の生え方で決めて下さい。上の前歯が4本くっついて生えている場合は歯みがきを始めましょう。上の前歯の真ん中が空いていても奥歯が生え始めると歯みがきを始めるようにしましょう。右の写真のお子さんは生後11ヶ月ですが、そろそろ歯みがきを始めた方がいいですね。みがき方は幼児の歯みがきワンポイントを参考にされて下さい。

 

Q19、歯みがきを急に嫌がる

A、小さなお子さんでそれまで上手にさせていた歯みがきを急に嫌がる様になることがあります。その場合押さえつけてむりやり歯みがきをするのではなく、一度お子さんのお口の中を観察してみて下さい。

 1、一カ所から血が出ている。
 2、歯ぐきから帯状に血がにじんでる。
 3、赤くリング状に腫れて真ん中が白い。

1、の場合は歯ブラシなどで歯ぐきを傷つけた可能性があります。2、の場合は歯ぐきが腫れている場合で歯みがきの回数が少ないとか、みがき方が悪い場合が考えられます。帯状に血がにじんでるだけなら痛くありません。3、の場合は口内炎です。 1、3、の場合が歯みがきを急に嫌がる原因になります。傷や口内炎がある場合はその上に指先をそっとあて、歯ブラシの毛先が当たらないように気を付けてみがいてあげて下さい。歯医者さんで塗り薬も処方してもらえますのでご相談下さい。

 

Q20、歯ブラシで歯ぐきを傷つけた

A、歯みがきを頑張り過ぎると歯ブラシで歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。傷つけたことに気が付かず、繰り返し同じ所を強くみがいていると歯ぐきが退縮(下がってしまうこと)を起こしてしまいます。写真には2本の横線が引いてありますが、下の横線が本来の歯ぐきの位置です。矢印は歯ぐきにできた傷です。電動歯ブラシを使ってお母さんがお子さんをみがいてあげるときに起こりがちです。電動歯ブラシはお母さんご自身が使われる時には歯ブラシの毛先の当て方、強さがわかりかまいませんが、最愛のお子さんといえども毛先の当て方の強さはわかりません。歯ぐきを傷つけても気が付かず、歯ぐきの退縮まで起こすことがあります。

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